【工事費用はかせ】日影規制の問題点・特徴・見方

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◆日影規制の問題点・特徴・見方の解説

◆日影規制とは?

 日影規制とは、建築物を建造する際に隣地の建物の日当たりを損なう事がないように定められた建築の制限規制のことを示す。

 建築基準法では、第56条2項に「建築物の高さの制限」「斜線制限」として規定が制定されている。

 日影規制の基準は敷地の境界線から5M及び10Mの測定ラインを設定することになっている。

 そしてこの設定ラインを超える影のオーバーの範囲の量を図ることで日影規制の測定を行なうことになる。

 近年は住宅建築を行なう際に小さな土地に工夫をこらして住宅を建築する狭小住宅が人気を集めている傾向が見られる。

 TVのリフォーム番組などで設計の工夫により小さな土地でも住環境を保つ事ができることが明らかになってきてはいるが、実際に入居後数年が経過すると最初の頃は見えなかった問題点が生じてくるケースも多い。

 尚、この日影規制は工場などを建築する工業地域などでは制限は一切なく日影規制の適用を受けるのは住宅地が基本である。

◆日影規制で建築規制される3種類の建築制限

 建築基準法では建築物の採光や風の通りを確保することを目的として斜線制限と呼ばれる建築制限規定が設けられている。

 この斜線制限とは、一般的によく見られるパターンとしては屋根の形状が斜めになっている建築物などがこれにあたる。

 これらのよく見かける三角屋根の住宅や斜めに切れている屋根の住宅はデザイン性だけからこのような形状にされている訳ではない。

 デザイナー住宅などで見かけるおしゃれな屋根などは建築制限の範囲内にてデザイン性を求めた結果、様々な屋根の形状がデザインされてきたと言えるかもしれない。

 実際に普段何気なく見かける屋根が直線でばっさりと斜めに切れている家などは、隣地間との環境を保つ為、そして隣地の採光を確保する為に斜線制限を受けた結果、このような形状になった訳である。

 まず建築基準法で定められている斜線制限には3種類の建築制限が存在する事を物件購入前にまず把握しておくことが重要である。

【3種類の斜線制限とは?】
①北側斜線
②隣地斜線
③道路斜線

◆日影規制・斜線制限の目的

 斜線制限によって建築規制を行なう目的は大きく分類すると以下の3つの条件を確保する目的がある。

 不動産物件探しを行なう際は、どうしても建物部分や内装、間取りといった部分に目を奪われがちになるもの。

 しかし何十年と長い年月をかけて居住する可能性を持つ不動産という性質を考慮すると、居住後に自分の思い通りに変えることが一切出来ない環境や日照権、通風といった問題は大きな問題となる為、この辺りはしっかりと把握しておきたいポイントである。

【斜線制限の目的】
★北側斜線は該当物件の「北側に位置する建築物」の日照の確保
★隣地斜線は、該当物件の隣地の日照、通風の確保
★道路斜線は、該当物件に接動する道路の日照、通風の確保

 住宅の建築ではこれら3種類の斜線制限の範囲内で設計をし建築をしなければいけない。

 デザイナーズ住宅などの建築でハウスメーカーや工務店ではなく設計事務所で建築を行なうユーザーが増加している要因には、この設計プラン力が大きく関与していることは言うまでもないだろう。

 建築基準法では、前述したように日影規制によって制限をかけることで採光や通風の確保をしている。

 しかし日影規制はどのような建物にでも規制がかかるという訳ではない。

 これは日影規制には対象となる地域とならない地域が存在する為である。

 オフィスビル街などで、北側道路に接しているビルなどでは、あきらかに日照が確保出来ていないビルも多く見うけられる。

 これらの不動産物件は、日影規制を受けていないケースの典型とも言えるだろう。

 日影規制の対象外となる条件については、用途地域と地方公共団体の「条例」の指定によって異なってくるの点がポイントとなる。

◆用途地域による高さ制限の規定

 建築基準法では、建築物が木造建築物の場合、一定の条件を超えた場合に耐火性能を一定の基準範囲よりも高い性能を保持する構造とすることが義務付けられている。

 耐火性能に関わる木造建築物の高さ規定は以下の通りである。

【木造建築物の高さ規定】
★建築物の高さが13Mを超える場合
★建築物の軒の高さが9Mを超える場合

 また、木造住宅でありかつ、「第1種低層」・「第2種低層住宅専用地域」の場合は建物の高さの上限が10M(もしくは12M)までと定められている。

 この10Mもしくは12Mの設定は都市計画によって地域ごとに判断される為、自分が物件を購入する予定の地域の都市計画図を市役所などで確認しておくと良いだろう。

 尚、第1種低層・第2種低層住宅専用地域ともに日影規制に関しては
★軒の高さが7M以下の場合
 もしくは
★2階建て以下の建物の場合
 については日影規制の制限を受ける事はない点もひとつのポイントと言える。

◆増改築による日影規制の問題点

 増築、改築などを行う際は、当然ながら建築基準法の範囲内で行うことが義務づけられている。

 また一定規模のリフォームや増改築を行う際は、建築確認申請を行う必要もあるケースがある為、自分勝手に増築や改築を行うことは基本的には出来ないことになる。

 しかし、実情としては、建築基準法範囲から大きく逸脱している住宅が多く存在する事も確かである。

 尚、最も多く見られるケースは建蔽率・容積率をオーバーしているケース。

 これらは、増改築の際に床面積を規定範囲以上に増築したケースに多く見られる。

 隣地の日影規制などにも悪影響を及ぼすケースも多く、これらの物件の担保は低下するケースもあるので注意が必要となる。

 近年はDIYブームもあり個人で住宅のリフォームや補修工事などを行なうケースも増加しており、中には自分で建築物の増改築まで行なってしまう強者もいる。

 建築物の増改築を行なう場合は建築基準法や消防法の範囲内で行なうことが大切となる。

 確認申請が必要となるほどの増改築工事を行なうケースは稀かと思うが、勝手に増改築を行なうことで違法建築物件としてしまってはその後の不動産売買に大きな影響を及ぼすことになる。

 違法建築はその違反の度合いにより建物の担保価値が大きく下がる点を把握している方は以外に少ない。

 金融機関、一般的に住宅ローンなどで主力となる都市銀行はもちろん、地方の信用金庫などもこれらの違法建築物に対しては徐々に厳しい判断を下すようになってきている。

 現実的には容積率をわずか数%オーバーしているだけでもローン審査に通らないなど審査基準もどんどん厳しくなっているのが現状である。

 中古物件の購入を検討している場合は、このような自分での補修や増改築に関わる点は徹底的に調査を進めたい部分である。